人ごみより。
週末の新宿、六時ごろ。
来てから気づく。
あ、忘年会シーズンってやつね、って。
ものすごい人。
あまりにも多くて、文字通り、目が回る。
そんな人ごみに向かって、一人の右翼がスピーカーで吠えまくる。
ものすごい数の耳に、その声は浸透していく。
でも。誰が聞いてるのか。
通り過ぎてふと振り返って見てみる。
真っ赤な顔して吠えてる。
でもやっぱり、誰も見てない。
見てないし、反応してない。
聞いてない、聞こえてない・・・
その二歩横では伝道師。
棒の先にスピーカーつけて立っている。
『もうすぐイエスの前に立たされる日が来ます。』
人ごみの上から、声を降らせる。
棒を持つ子供のうつろな目。
熱が入りすぎて何を言ってるのか、もはやよく分からない男の声と
神を語る録音された機械的な声。
人ごみに混ざっていく。
自分の力で歩いてるんじゃない。
人ごみに歩かされてる。
自分が行きたい方向じゃないのに、どうしようもなくなる。
信号が点滅を始めたけど、私は交差点の真ん中にも到達してない。
押して、押されて。
頭がぐるぐる。
誰か助けてくれー、と叫びたくなる。
最近、私の周りに農業に関わる人が増えてる気がする。
食に気をつける人も増えていく。
過疎化の進む村の民家に住んで、活性化を図る若い夫婦の話を読んだ。
お金や宗教は国境を見ない。
政治や環境は国境を作る。
2009年暮れ。
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